さて、近似の基準の定義(第XII章で述べたもの)を思い出すと、
極限という概念は次のようなことを意味する。すなわち、級数 の項の極限が であるとは、近似の基準としてとられたいかなる実数 に対しても、級数の項 が存在し、それ以降のすべての項(すなわち など)がその近似の基準の範囲内で に近似することをいう。もし別のより小さな基準 が選ばれたならば、項 は級数の中では早すぎるかもしれず、その場合には上記の性質を持つより後の項 が見出されることになる。
もしこの性質が成り立つならば、級数 , , , , を左から右へと進むにつれて、ある時点から先は、どのような数を与えたとしても、それよりも に近い項ばかりになることは明らかである。言い換えれば、あなたは に好きなだけ近づくことができる。級数の極限に関するこの定義と、第XI章で与えられた連続関数の定義との密接な関連性は、直ちに理解されるであろう。
そこで、元の級数 に立ち返ると、級数 の項の極限は、元の級数の「無限和」と呼ばれる。しかし、この言葉の使い方が
「和(sum)」という言葉は極めて人工的なものであり、有限個の項の通常の和に見られるような性質がそのまま成り立つと仮定することは、特別な検討なしには許されない。